庚さんのレポートです。ありがとうございます。
■1997年3月31日
野獣王国 at Chicken George
メンバー:東原力哉(Dr.)、是方博邦(G.)、鳴瀬喜博(Ba.)、難波弘之(Key.)
一部にはどーでも良い話だけどこっちにしてはどーでも良くない話
実は……4年振りの神戸でした。
理由はと言えば勿論、神戸で自分が好きなアーティストが、『そこ』だけでやるor
ライブツアーのファイナルをやる……っつーことがなかったせいもあるけれど、もう
1つは、『震災』でした。
『あの時』、私ってば卒論提出前で完全に昼夜逆転の生活。ふと地震を感じてつけ
たTVでの『関西地区で非常に強い地震発生』ニュースに驚き(当時の私は埼玉県民
)、そのままベッドに入って目覚めた昼、完全に壊滅した神戸の姿を目にして強いシ
ョック、受けました。「神戸大学の卒論締切、どうなったんだろ……これで『留年』
じゃ、可哀想すぎるよ」(国立大学の卒論締切は多くの文系の場合、1月20日)と無
事、卒論提出を終えた友人共と話し合っていたのは可成り“お間抜け”だったのだけ
ど(卒論提出前後の大学生、完全に“常識”忘れてます――念の為)、研究室&バイ
ト仲間がシフトを全て自分に押しつけ、「悪い。俺、『神戸』、行ってくるわ」の台
詞とともに自分の卒業旅行をキャンセルしてまで旅立って行ったのが1月末。自分の
当時の『無力』さに、愛想が尽きたあの時。
そして今回のチキンジョージ。『震災』を抜きにしては語れない、『生田神社』の
目の前のライブハウス。震災後の“復活”は既に“伝説”のライブハウス。私にとっ
てはホント『重すぎる』場所だったのですね。笠原の件(笑)があり、相棒の「え?
オレ行くよ」の一言があって初めて行くことが出来た、場所だったんです。
で、しっかり、行ってきました。お隣りの生田神社へも。何もかも、真新しい拝殿
に鳥居。大学時代、散々見なれた『神社』関係書物のグラビアの、歴史を感じさせる
古ぼけた拝殿とは全く違っていた姿に、今更ながら『震災』のデカさを知り、ただの
センチメンタルだと理解っていながらも、涙を落とした、私でした。
という訳で。ここからマジメな(笑)ライブの話。
しっかり最後尾・中央テーブルを陣取り、テーブルには空のラガー缶が整列(笑)。メンバーをお迎えする準備万端……のところでメンバー登場。『GOLD RUSH』にて
この長いツアーの終幕も切って落とされました。
「やっと終わりやな」の是方センセイの一言にどっとウケる客席。「それにしても『オーロラ輝子』、すごいね」とハナから話の腰を折るナルチョ――まーだ引きずってたんかい、アンタは(笑)。もう既に漫談タイム。流石にこの長いツアーの最終と
あって、ステージ上も、何となくリラックスした雰囲気が伝わって参りました。
でもって2曲目は何と新曲!「もうちゃんとタイトルも決まってます、凄いっしょ?」と是方センセイ。確かにそれは凄いわ。それは『ALICE』。タイトルは確かに可愛いのだけど、野獣ぶりは相変わらず。ノリが良いのは勿論のこと、しっかり聞き込むと『ホンマ、よーやるわ』。カッコいい曲であったことは保証致しましょう。
続いて難波氏のキレの良いピアノで始まり、力哉さんのラテン系のリズムがそれに混じるファンキーなナンバー(これも多分、新曲だと思うのだけど……。いかんせん、難波氏以外のメンバーのナンバー、しっかり聞き込んでないので今一つ確信が持てません。誰か知っているヒトいたら、教えて下さいまし)。
「どうも今晩わ、『野獣王国』です」と是方センセイ、本来の(笑)ご挨拶。
ここでいつものメンバープロモーションタイムとなったのですが……。
「実は今日、TV入ってます。『SUNテレビ』の……何だっけな……」ここで確認すな、確認っ! 30分番組の4週連チャン放映が決まっているそうで、「それはまた、無謀なコトすんな……」とナルチョ。同感。とはいえ、『SUNテレビ』といえば神戸のローカル局。当然ウチ(名古屋)には入らない。「誰か神戸にツレいるか? 頼めそうなヤツ……」「え? わし関西方面は完全に空白だから……」と指折り数えるわしらの図(笑)。お陰で放映日時・放映時間etc.、聞いておくの、完全に失念いたしました。失礼。
このツアー中にも他の仕事が色々と入り、お忙しのメンバーの皆様。お陰で本来の(?)バンドetc.との連絡もうまくいってないようで、是方センセイ、突如メッセンジャーボーイと化す。「あ、そうそう。ナルチョ、野呂クンから伝言あったんだ。『生きてるか?』って」「野呂……ぉ? 『CASIOPEA』? 何じゃい、そりゃ」――そ……そりゃないだろ。「お前、完全に『ジジイ』やな」「これからナルチョのこと、みんなで『ナルジイ』と呼んであげましょう。せーの」――ナルジーィ! 「悪かったな、でもホント、最近物忘れ激しくてさぁ」とコメントするナルチョ。とはいえ、ジジイであれだけ動き回れば、それはそれで凄いことだと思うけれど如何に?
「あと、難波弘之くんはもう次の日、福岡での『レッド・ウォーリアーズ』のツアーに参加です。この『野獣』からいきなり……」「Hey, Keep on Rock'n!」わざとしゃがれ声で返す難波氏。「ユカイくん(Red'sのVo.)って、普段もあーなの?」「いや、普通は違うけど」。当たり前の返答に力哉さん、「わしら、楽屋にいる時もステージにいる時も変わらへんな、このまんまやないか」。そこがいいところ……だと思いたい(笑)。
「しっかしこのツアー、殆ど『ゴキブリ』みたいやったな、わしら」。「何でー?」の質問に是方センセイ答えて曰く、「田舎道を車でただひたすらはいずり回って(笑)、やっとここまで来たから」。それはちゃんと、認めてあげよう(笑)。名古屋周辺で泊まったホテルの、あまりのアナクロぶりの話にどっとウケる客席。「絶対、あそこだな」「うん、あそこしか考えられないよ。場所からいっても」と声を交わす半分地元サル2匹(笑)。
「そーいえば『野獣王国』のホームページ、あんねんで」とナルチョ、いきなり言いだし――う……そだろ、をい。「そうそう、名古屋の男の子が作ってくれてるらしいわ。もし良かったら、見てやって下さい」と是方センセイ。ご本人様、今回のツアー1ヵ所も行けなかったっつーのに。“よかった”と言うべきか……。
代わりに「小牧と笠原の分、レポート載っけたよー」と報告(?)したらナルチョ、「何だぁ……お前の『彼氏』か」「ちっが――う!」。ちゃんと説明(?)しようとしたら「長くなりそうやな」でチョン。あさくらさん、すみません。
殆ど“マキ”状態のMCが最終段階に進んだのを確認し、「おら、後ろ行くぞ」「OK」移動開始。「じゃ、次。『野獣王国の』中で一番ポップなナンバーを」。案の定、『DIMENSION TRAVELER』。一段上がったカウンターのスタンディングスペースで踊り狂うサル2匹。ちらっとそっちを見た難波氏の苦笑い、わしらに向けて……以外の何ものでも、なかったことでしょう。彼自身、思い当たるの、わしら位だろーし(笑)。
気持ちよーく踊らせて頂いたお陰で髪がばさばさ。で、ちょいとトイレタイム。お陰で戻ってきた時には折角の雑談タイムも殆ど終わりに近付いていて。何となく、ソンした気分は否めない(ここの場合、本当にMCが面白すぎるから)。
気を取り直してミディアムナンバー3曲。『TEARS OF MARMAID』、最初のボトルネック奏法、明らかに音を外してしまった是方センセイに続いて入る難波氏と力哉さん、顔を見合わせて苦笑い。これこそライブの醍醐味といいましょうか。
そのお陰か何か、続く『ペンギンの初恋』で力哉さん、必要以上に「パシコーン!」入れまくり放題(笑)。何だかなぁ。
最後はこれも御馴染み『哀愁のクジラ』。ほっと一息ついたところで是方センセイ、「“横浜”のクジラが見えましたか?」――そ、そりゃねーだろ。「“神戸”じゃないのー?」のヤジに、是方センセイ、「え? おれ今なんて言った?」殆ど意識していなかったらしい(笑)。
「では今回のライブも残すところ2曲となりました――ってもスゴいですよぉ。この2曲で十分、今までの曲分、時間ありますから」と是方センセイ。「そうか……これで今回のツアーも終わりっちゅーことですね。寂しい限りでございます」そうナルチョが返し、『PURPLE SAURUS』。ここはとにかく、力哉さん、力打! 以外の何ものでもなく、ソロコーナーはじめのタム回しからして既に圧巻。シンバルワークまでいけばもう、つい10日前のライブとは完全に別物。他のバンドで散々、ツアー初めとラスト近くのプレイの差には慣れている私ではありましたが、あれには本当、圧倒されました。それに触発されてか、曲に戻ったところで是方センセイ、ステージから降りて最前テーブルの空いていた椅子に立ち上がってのプレイ。迫力……でしたわ。
今回のツアー。今までだったらここで『NOW OR EVER』、ナルチョ独壇場……となるのが“お約束”。そう心得えていたわしら、ラストの盛り上がりにノリながら、さりげなーくテーブルの上にあったラガー缶etc.を下の床に追いやり、果ては私が座っていた椅子もステージ向かって正面へセット(要は、ジジさまが上りやすいように……という配慮^o^)。本人は一段上がったスペースへ腰を掛け、その時を今か今か……とお待ち申し上げておりましたのですが……。
何の前触れもなく、哀愁を帯びたメロディに先刻以上に盛り上がる客席――『日本の心、春夏秋冬』! これだから、関西系でのライブって……! CDでも確かに、ノリノリな様子が伺えたのですが、今回はあれに大仰なカウンターメロディは入るわ、派手なドラムは入るは……本当にシャレでやっているとは思えない熱演ぶり。どんどんエスカレートしていっているであろうこの曲を、毎回聴こうと思えば聴くことのできる関西の方が、羨ましいっすよ、全く……(名古屋じゃ今まで一度もやってないハズ)。
やっと落ち着いて(笑)『NOW OR EVER』。鳴千代殿下、ステージ中央を『お練り』してその後下手後方へ。そして立ち上がったのは客席中央のテーブル。しくしくしく……折角用意(?)しているのに。“どかせ”とヘッドでジェスチャーする位ならこっちまでこんかい! と叫んでいたサル2匹(笑)。ヘソマガリなナルチョ、“用意”されている『場』にはやっぱり、キョーミないのかしらん……。
でも、アオるのはナルチョだけではなかった! 気が付いたら是方センセイまで客席に降り、盛んに“Stand,up!”のジェスチャー。その熱が前方ステージから波及し、あの、チキンジョージ全体が総立ちとなってしまったのでありました。それを受けてのナルチョのプレイ、どうなったかは……皆様のご想像通りです。流石、ツアーファイナル・チキンジョージ。最高でしたぜ。
とまぁ、ここで本編終了、一応メンバーの皆様はステージを降りて……の段取りのハズなのに、客席の拍手は既に『アンコール』の手拍子。降りるに降りられず、苦笑いの果てに是方センセイ、「うぉぉぉっ!」の雄叫び――あらら、本当に“野獣”になっちゃった(^^;
「じゃ、アンコールいきます。『鉄腕アトム』」こう是方センセイが紹介したので我ら『鍵盤帝国名古屋亡命臣民』、声の限りに「難波さーん!」――一瞬の空白の後、メンバーの皆様、口々に「モテる男はいいやな」。慌てて(笑)次々とコールのかかる客席に向かい、ただただ苦笑いする難波氏。わしらの所業だ……って、バレてたわね、あれは。
先刻の『NOW OR EVER』の恨みも半分(笑)、椅子に座りながらも踊り狂うサル2匹。それを鎮めてくれたのはこれも定番、『LAST BLUES』。「チューニング目茶苦茶やな」とボヤきながらも是方センセイ、しっかりとヒートアップした熱を冷ますように幻想的なスライド奏法。だがしかし……なのです。
スライド奏法の心地好さに酔っていたら、ステージ後方の上手方面から、白いタオルを頭に巻いたランニングシャツ姿の一見、インド人風のオヤジが一匹、『白鳥の湖』のバレリーナの如く、踊り出て参りまして……折角の“幻想”も台無し(^^;
大ウケの客席に、一瞬、何が起こったのか分からないフロントメンバーの皆様……。最後まで『野獣王国』らしい、演奏と言動・行動が一致しないライブでございました。
「その後」のお話
「何であんたら、こんな所にいんのよ〜〜っ!」
ちょいと落ち着いて、出口へと向かったわしらが目にし、「あっれ〜っ?」と声をかけたのは、大阪在住の他バンドでのお友達。
『DIMENSION TRAVELER』で踊り狂っていたのがわしらと知っての彼女の台詞。「あれ、無茶苦茶ヒンシュクやったでぇ……」。皆様、やっぱりそうでしたか?(自覚のなかったサル2匹 )
そうこうしているうちに今度は、こっちも関西で大学生やってる私の従弟が「こんばんは、来てたんですね。<ぽい>声がしてたからそうじゃないかと思っていたのだけど……」とご挨拶。をいをい、本トかよ……(とはいえ、彼は『CASIOPEA』Fan。可能性は大アリ)。何でも、是方センセイ前テーブルに陣取っていたそうで、「目の前で是方さんが……」と言うので思わず、後で是方センセイにプレゼントがてらお願いに上がるのに、引っ張り込んでしまいました「これ、ウチの従弟ですぅ〜」と。無茶苦茶緊張しつつ、お話かけている彼を見て、ほくそえむ極悪な従姉……(“ネタ”だったの、ごめんね、A司クン)。
是方センセイは従弟にまかせて今度は本命・難波“鍵盤帝国皇太子殿下”氏の所へ。「お疲れ様でしたー」とカオを見せた瞬間、彼の眼はわしらの方ではなく、私の下げていた紙袋の方へと――ハイハイ、その通りでございます。いつもの貢納物・『日本酒&お手紙』でございます。最近、「セット」で覚えられているような気が……。
そんな難波氏、出ていらっしゃるのを最後までお見送りしようと外で待っていたら、案の定と言うべきか、きれーなねーちゃんを数名はべらかし、臣民2名に「いつもありがとね」の言葉をかけ、夜の山手の街へと消えてゆかれたのでありました……。
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